マーケターになるために最も大切なスキルは何でしょうか?
その問いに対してUSJをV字回復に導いた立役者でありマーケティング責任者の森岡毅氏は「戦略的思考を身につけること」と答えています。戦略的に頭を使うことに慣れていくことが、マーケターになるための第一歩だということです。
今回は森岡氏の著書「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」をご紹介し、戦略的思考とは何なのかを紐解いていきます。
戦略的思考のポイント
・戦略とは何か?
何か達成したい目的を叶えるために、自分の持っている様々な資源を、何に集中するかを選ぶこと。(資源配分の選択)
・なぜ戦略が必要なのか?
1.達成すべき目的があるから
2.資源は常に不足しているから
経営資源が足りない中で目的を達成するためには、限られた貴重な経営資源をどれだけ無駄なく有効に使うか、考えて考えぬくことが必要。選ぶことで足りるようにする、その選択こそが戦略である。
・経営資源(リソース)とは?
カネ、ヒト、モノ、情報、時間、知的財産を6大経営資源と呼ぶ。
経営資源とは、使う人が認識できていないと使えない。部下が長所を持っていたとしても、それを知らなければ活用して成果を出せない。最も大切な資源はヒトである。ヒトだけが6つの経営資源全てを増減したり使いこなしたりできるからだ。
・目的と目標の違い
目的とは達成すべき使命のことであり、戦略思考では最上位の概念。
目標とはその目的を達成するために経営資源を投入する具体的な的のこと。
・戦略と戦術の違いとは?
戦略は目的を達成するための資源配分の選択。戦術は戦略を実行するための具体的なプラン。
戦略的に考えられるということは、目的→戦略→戦術の順で考えるということ。
・戦略の方が戦術よりも大事
戦略の大きなミスは戦術ではリカバリーできない。どう戦うか(戦術)の前にどこで戦うか(戦略)を正しく見定めることが何よりも重要。
・戦略の4Sチェック
Selective(選択的かどうか):やることとやらないことを明確に区別できているか
Sufficeient(十分かどうか):経営資源がその戦局での勝利に十分であるかどうか
Sustainable(継続可能かどうか):中長期で維持継続できるか
Synchronized(自社の特徴との整合性は?):自社の特徴を有効に活用できているか
・素晴らしい戦略とは
相手と自分の特徴の差を、自身に有利になるように活用できていること。
物事には必ず二面性があり、強みの裏側には必ず弱みがある。
マインドマップ
感想
マーケティングの戦略と戦術で言うと、戦術の方に注目が集まりがちです。
派手なキャンペーンや広告など、消費者に見えるのは戦術の部分だからです。
しかし、私は戦術よりも戦略に魅力を感じています。
目には見えないけれども裏側に潜む美しく構成された骨組みを垣間見た時、その素晴らしさに感嘆するのです。
「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」
という言葉がありすが、
「充分に洗練された戦略は、アートと見分けがつかない」
と私は表現しています。
無駄のない洗練されたマーケティング戦略に触れると「あぁ美しいなぁ」と思ってしまうのです。
(数々のマーケティング戦略を垣間見れる「カンブリア宮殿」は大好きな番組のひとつです)
森岡氏も美しい戦略を描ける稀有な存在であり、その裏側は一冊名の著書「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」でも垣間見ることができます。
マーケター予備軍や現役マーケターの方はもちろん、戦略的思考を身につけてビジネスに役立てたい全てのビジネスパーソンにおすすめできる内容となっています。ぜひご一読ください。
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